森の歌い手、クロツグミ
新緑の森中に響き渡る美しい歌声の主を探すと、桜の木の枝に止まってクロツグミ(英名;Japanese Grey Thrush、体長 22p)がピヨ、ピヨ、フィッ、フィッ、 ピヨ、ピヨ、フィッ、フィッと口笛を吹くような高い声でテリトリー宣言をしていました。
お立ち台にやってきてくれたクロツグミ。
ほんのちょっとだけ登場したアカショウビン
カエルの棲む深い森の中の池の前でアカショウビン(英名;Ruddy Kingfisher、体長 27p)を待っていたところ、この日はこの一回だけ顔を見せてくれました。
別な日再びアカショウビンを早朝から待っているとようやく大木の横枝にやってきてくれました。
アカショウビンを待つ間に姿を現したホンドリスです。大木の幹や枝を忙しく動き回って食べ物を探していました。
別な場所でアカショウビンを待っているとき、後方の茂みの向こうにニホンザルの一家がやってきました。赤ちゃんを抱っこして授乳している母猿の優しい表情を写し撮りました。
ヒリリリリッと鳴きながら飛ぶサンショウクイ
夏鳥のサンショウクイ(英名;Ashy Minivet、体長 20p)は新芽の出始めた高原の林の上を数羽の群れで飛びながら昆虫などを捕食しているところを見ることがあります。中国には数種のとても美しい色彩のサンショウクイの仲間=山椒鳥(漢語の意味はとても美しい鳥)が住んでいるそうですが、日本にやってくるサンショウクイは地味な色合いなので中国名では灰山椒鳥と書きます。名前の由来は山椒を食べる鳥ということではありません。
上の2枚と下の写真はともにサンショウクイのメスです。メスは頭から背中が薄い灰色をしています。
こちらはオスのサンショウクイです。過眼線や頭部から背中側が黒色をしています。林の中などで頭上をヒリリリリ、ヒリリリリという声が聞こえた時はサンショウクイを観察するチャンスです。
美しい声でさえずるビンズイ
タヒバリの仲間のビンズイ(英名;Olive-backed Pipit、体長 16p)は林縁や公園などのよく手入れされた芝生の上で昆虫などを採餌する姿をときどき見かけます。
真剣なまなざしで虫を探すビンズイ(雌雄同色)。鳴き声はチュチュチュ、チィーチィーチィーチィーチィーと美しい声でさえずります。
高原に咲き誇るレンゲツツジの花にやってきたビンズイ。
可愛いキビタキ
森に春がやって切ると子育てのために渡ってきたキビタキ(英名;Narcissus Frycatcher ,体長 14p)のかわいらしい姿が目に止まります。
苔むしたお立ち台の石に止まるキビタキ。
こちらはメスのキビタキ、オスと違って目立たない衣装ですね。
巣材集めに忙しいイワツバメ
初夏の高原に車を止めると駐車場の脇の草むらでイワツバメ(英名;Asian House Martin、体長 15p)たちが忙しく巣材集めをしていました。
真剣な顔つきで巣材をくわえて巣に戻るイワツバメですが、しぐさがとてもかわいらしいですね。
巣材を集めるイワツバメ。
赤い小さなくちばしのソウシチョウ
ヒマラヤ、ミャンマー、中国西部などの1000mほどの高山帯に生息しているソウシチョウ(英名;Red-billed Leiothrix、体長 15p)は日本の野鳥図鑑では篭脱け鳥として扱われています。江戸時代ごろから愛玩用に移入されたものが半世紀ほど前から野生化してその数を増やし、今では深い笹やぶなどのある森や林の中を数羽の集団で採餌しているのを見かけることがあります。
ソウシチョウはいつも数羽の群れで行動しています。
子育てに忙しいブッポウソウ
梅雨の最中谷合の森へ、子育てに忙しいブッポウソウ(英名;Oriental Dollardird、体長 30p)を訪ねました。ブッポウソウは夏に東南アジアから中国東北部、朝鮮半島などに渡って繁殖します。日本にも少数が本州、四国、九州にやってきます。黒い頭部、濃い青色に一部白の翼、青緑色の胴体、赤橙色の嘴と脚と大変ユニークな色彩の鳥です。
ツガイのブッポウソウは谷底の枯れ木に止まって飛んでくる蛾やトンボ、セミなどの飛翔する昆虫をフライングキャッチしては代わる代わる巣箱のヒナのところに運んでいました。
虫を捕まえると一旦は止まり木に戻ってきます。ヒナが食べやすいようにくわえ直すと巣箱目指してまっすぐに飛んでいきます。
降りしきる雨をものともせずにヒナのためにエサ取りに励んでいました。
ヒナのお腹が満たされたようです。二羽でくつろぐブッポウソウの夫婦。ちなみにこの鳥は鎌倉時代から仏法僧と呼ばれていましたが、鳴き声は近年になってから濁った声でゲェッ・・・、ゲェッ・・・、ゲゲゲ、ゲェーッ、ゲェーッと鳴くことが確かめられました。
森の住人、ゴジュウカラ
ここではあちこちの森で出会ったゴジュウカラ(英名;Nuthatch、体長14p)をご紹介します。ゴジュウカラは留鳥で各地の林で一年中見ることができます。別名「きまはり」、「きめぐり」などと呼ばれるように樹幹を下方にぐるぐると虫を探し回っている姿が個性的です。
オスは繁殖期には高い木の枝に止まりながら口笛を吹くような高く響き渡る声で、ピーィッ、ピーィッ、ピーィッ、ピーィッと鳴きます。小さな体に似つかない大声の持ち主です。
キツツキの古巣で子育てをしていました。
珍しく横枝に止まってくれたところをパチリ。なかなかきれいに写し撮ることができました。
木の幹で採餌中、身体をそらすようにして辺りの様子を伺う得意のポーズです。
雪の積もった林では食べ物を探すのはとても大変です。雪の上に落ちた木の実をくわえるゴジュウカラ。
初秋の三番瀬に海鳥を訪ねました
九月初旬、潮の引き始めた三番瀬(船橋市)を訪ねました。エサを求めて集まってきた海鳥の中でひときわ目立っていたのはアジサシ(英名;Common Tern、36p、旅鳥)の大群でした。一斉に舞い上がって対岸の高層ビル群を背景に飛ぶアジサシたちを撮影しました。
潮が引いて砂地が見えてきたところに降りて羽を休めるアジサシの群れ。
海面すれすれを飛ぶアジサシの群れ。
長くそり上がった嘴のオオソリハシシギ
波打ち際でオオソリハシシギ(英名;Bar-tailed Godwit、体長 39p、旅鳥)の家族が採餌していました。長い嘴は好物のゴカイを穴から引きずり出すのに役立ちます。
潮が満ちてくると浜辺の砂の上にやってきてエサ探しを始めました。
家族で採餌するオバシギ
オバシギ(英名;Great Knot、体長 27p、旅鳥)が家族で採餌していました。シベリア東部で繁殖して東南アジアやオーストラリアで冬を越す渡り鳥です。
アサリのたくさんいる場所に家族で集まって仲良くお食事。
シロチドリも来ています
シロチドリ(英名;Kentish Plover、体長 17p、留鳥)が2羽、仲良く採餌していました。
シロチドリはコチドリと少し似ていますが、コチドリのような目立つ金色のアイリングはありません。
コケッティシュなソリハシシギ
ソリハシシギ(英名;Terek Sandpiper、体長 23p、旅鳥)が水辺でエサを探していました。ソリハシシギの好物はカニですが、なかなか見つけられないようですね。
短くて黄色の足が太めの胴にチョンとついていてとても親しみの沸わく鳥ですね。
小さなシギ、トウネン
トウネン(英名;Red-necked Stint ,体長 15p、旅鳥)を見つけました。普段は大きな群れで行動します。この日は2羽だけで採餌していました。
トウネンは江戸時代にはトウネゴシギなどと呼ばれていました。小さなシギなので「当年の子・・・その年に生まれた子ども」という意味でそのように呼ばれたようです。
ちょっと強面のミヤコドリ
ミヤコドリ(英名;Oystercatcher、体長45p)は日本には少数の群れでカムチャッカ半島などから越冬にやってきます。頭から背中にかけて黒頭巾を被ったような出で立ちで白いお腹に赤の嘴と虹彩、ピンクの足のコントラストがとても強面の雰囲気です。
この日見かけた6羽の群れは波打ち際で羽を休めたり水浴びをしてくつろいでいました。
海辺で貝類を食べるミヤコドリは奈良時代から歌に詠まれたりしてよく知られていたようです。ただ平安時代、在原業平が歌に詠んだ「ミヤコドリ」は魚を食べる鳥とのことでユリカモメのこと詠んだのではではないかといわれています。
白い羽と赤色の嘴と足が美しいユリカモメ(英名;Black-headed Gull、体長 40p、冬鳥、埼玉県内で撮影)
波と共に水辺を行き来するミユビシギ
ミユビシギの群れもいました。波の動きに合わせていったり来たりしながら採餌していました。
ダイゼンも来ていました
江戸時代からダイゼンシギと呼ばれていたダイゼン(英名;Grey Plover、体長 29p)、肉の味が良く宮中の宴会料理に使われたことが名前の由来ということです。
現代では足管をつけた個体が散見されるように生態観察が行われて大切にされています。
以上で三番瀬の海鳥の紹介を終わります。
乗鞍岳のホシガラス
9月下旬乗鞍岳の畳平に、実ったハイマツの実を集めるホシガラス(英名;Nutcracker、体長 35p)を撮りに出かけました。普段は標高2000m〜2500mの亜高山帯辺りに暮らしているホシガラスはハイマツの実がおいしく実るこの時期標高3000m近くのハイマツ帯にやってきます。大きなしゃがれ声でギャー、ギャー、ギャーと鳴くホシガラスは遠くからもすぐに判別ができます。
人影が少なくなると登山道のすぐそばまでハイマツの実を取りにやってきます。とても愛嬌のある顔つきです。
見通しのきくハイマツの枝に止まっておいしそうな実をつけているハイマツを探すホシガラス。
実をつけているハイマツめがけて飛び込んでいくホシガラス。
松ぼっくりをむしり取ってお決まりの食事場所に向かうホシガラス。
松ぼっくりを解体しておいしい実を頬張るホシガラス。一度に松の実を10個近くも頬ばることができるのだそうです。
ホシガラスはこれからやってくる厳しい冬に備えてあちこちの岩陰にハイマツの実を貯めこんでいるのです。
深まる秋の気配に包まれた鶴ヶ池付近
肩の小屋付近の紅葉、ハイマツの実を食べるホシガラスがたくさん飛んでいました。
ハイマツの森に別れを告げるカヤクグリ
日本の固有種カヤクグリ(英名;Japanese Accentor、体長 14p)は夏の間亜高山帯から高山帯のハイマツの藪の中を子育てや生活の場として過ごします。山が紅葉に包まれる季節になるとエサの取りやすい低地の林などに移動していきます。
ハイマツの脇の岩場に生えている草の中に隠れている虫を探すカヤクグリ。もうすぐヤマは雪に包まれてエサ取りができなくなります。
3月、春の気配のする奥多摩湖近くの川沿いの薮で出会ったカヤクグリ。
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