あこがれのオオマシコが撮れた!
雪深い山道の斜面で萩の実を食べるオオマシコ(英名;Pallas's Rosefinch、体長 17p)に出会い写真を撮ることができました。初めて見るオオマシコ(♀)は萩の細い枝に止まって採餌に夢中です。たくさん実をつけた枝を巧みに移動しながら先の方までほとんど残さずに食べていました。
オオマシコは沿海州やシベリア南部などで繁殖し越冬のため日本や中国南部に渡ってきます。
オオマシコのメスは顔や頭頂、ノドが赤色を帯びています。メス二羽がゆったりと萩の実を食べていました。
ササやぶ近くのノイバラの枝に止まるオオマシコのメス。背景の雪の光が強く相当に露出補正して撮影をしました。
全身鮮やかな赤色のオオマシコのオスです。
大きな群れで動き回るマヒワ
マヒワ(英名;siskin、体長 12p)は大きな群れで沿海州方面からやってきて越冬します。ハンノキの実が大好物で、高い枝先に稔った松笠をこじ開けて食べます。
こちらはマヒワのメスです。白、黄、黒色の縦斑模様がとても美しい小鳥です。背の高いハンノキの上部が崖下から顔を出してちょうどカメラ目線のところに、たくさんのマヒワたちが次々にやってきてポーズをとってくれました。
黒のベレー帽、濃い黄と黒の縞模様の羽がダンディなマヒワのオスです。
大好きなハンの実をたくさん食べられて幸せそうですね。
ホザキヤドリギの実を食べにくるヒレンジャク
中部地方より北の地域のミズナラや白樺など落葉広葉樹に寄生するホザキヤドリギは秋が深まると自身も葉を落として5〜6mmの黄色の実を付けます。真冬の寒い季節、きれいな黄色に熟したホザキヤドリギの実を食べにヒレンジャク(英名;Japanese Waxwing、体長 18p)がやってきました。
数十羽の群れでやってきたヒレンジャクたちは高い木の枝先に止まってホザキヤドリギの実のある木の周りの様子を伺います。
危険がないと見るやホザキヤドリギの寄生している木に次々と舞い降りてきます。
ホザキヤドリギの実を大急ぎで頬張るヒレンジャク。右上がオス、左下はメスです。
こちらはメスのヒレンジャク、ノドの下にある黒色の部分とお腹の白い部分との境目がぼやけています。オスは前の写真のようにこの境目がくっきりと分かれています。
ヒレンジャクの名前の由来となった尾羽の緋色がとても綺麗です。
樹上で一休みしているヒレンジャク。休んでいるときに排泄される糞は消化されない種と一緒に木の枝にくっつき、やがて春には新しいヤドリギがそこから芽を出します。
凍てつく伊豆沼のオオハクチョウ
2月に訪れた伊豆沼は灰色の空の下で厳しい真冬を過ごすオオハクチョウ(英名;Whooper Swan、体長 140p)たちが迎えてくれました。小雪混じりの中オオハクチョウたちは,二羽,、三羽と家族に分かれて餌場に向かって飛んでいきました。
早朝ねぐらから出て餌場に向かう準備を始めたオオハクチョウの家族。
餌場を移動するオオハクチョウ、顔やお腹は田んぼの泥ですっかり汚れています。
お腹いっぱい食べてねぐらの伊豆沼に帰ってきたオオハクチョウの家族。
傾いた日差しに水面が冷たく照らされています。風も出てきてオオハクチョウたちは波に揺られながら浮かんでいます。
水面は波がしらが砕けるほど風が強まりちらちら雪が降ってきました。夜になるとさらに気温は下がります。寒さに耐えて頑張れ!
諏訪湖で会ったコハクチョウとアメリカコハクチョウ
コハクチョウ(英名;Bewick’s Swan、体長 120p)、嘴の黄色部分がオオハクチョウより先の方に出ておらずその面積も狭いので見分けられます。
アメリカコハクチョウ(英名;Whistling Swan、体長 132cm)、日本には少数が飛来して越冬します。嘴の黄色部分がごく小さいのが特徴です。
夜明け前から餌場に向かうマガン
北シベリア方面からカムチャッカ半島を経由して伊豆沼に越冬しにやってくるマガン(英名;White−fronted Goose、体長 72p)は3万羽以上。このマガンに会いに2月に伊豆沼を訪れました。この時期、早くもマガンたちの北帰行が始まっていて沼にとどまっているマガンはかなり少なくなっていましたが、早朝に餌場に飛び立つマガンたちの姿にはとても感動させられました。
夜明け前の少し空が白み始めるころ、マガンたちはグァー、グァーと大きな声で鳴き交わしを始めます。まるで今日の餌場はどこにしようか、何時頃出発しようかなどと家族で相談しているかのようです。
相談がまとまった家族から先を争うように大きな羽音を立てながら飛び立ちが始まります。(残念ながら曇り空での撮影となってしまいました。)
マガンたちは小さな群れ、大きなくの字や一の字の群れとなってエサとなる豊富な稲の落ち籾のある周辺の広大な田んぼ目指して思い思いの方向へ飛んでいきます。
マガンたちが飛んでいった田んぼを探しながら車を走らせていくと、畦道の上で落ち穂や落ち籾を探すマガンの家族に会いました。
別な場所に移動しようと飛び立つマガン。
飛行機と競争して飛ぶんだ!
くの字編隊で飛ぶマガンの家族。
コウノトリがやってくるため池
国の天然記念物であるコウノトリ(英名;White Stork、体長 112p)は戦時中の食糧難時代の乱獲、また巣をかける木の伐採や農薬使用などによる生息環境の悪化のため日本国内での繁殖個体は絶滅してしまいました。しかし近年、兵庫県豊岡市にあるコウノトリ保護増殖センターがロシアなどの協力を得るなどして長年行ってきた人工繁殖や再野生化の活動が成果を上げてきています。今回訪ねたこのため池にも豊岡で再野生化のため放鳥されたコウノトリが飛来していました。朝陽を浴びたコウノトリとミコアイサやカルガモが挨拶しているようですね。
白黒の美しい翼、朱色の脚と黒いくちばしが特徴です。
保護、観察用の足管がいくつもつけられています。前をよぎって泳ぐのはカワアイサです。
並んで行進するダイサギと比べてもかなり身体は大きいですね。
開いた口の中も朱色です。水辺を歩いて魚やカエル、イモリなどを食べます。
休む時は嘴を胸部の羽で包み込むようにして熱を逃がさない工夫をしています。
カワアイサを近くで撮影しました
諏訪湖で越冬するメスのカワアイサ(英名;Goosander、体長 65p)の群れ。広い湖面を移動していきます。メスは首から上の羽が茶色、首の部分は白色をしています。シベリアや沿海州方面で繁殖して日本などで越冬します。
こちらは伊豆沼で出会ったカワアイサのオス、頭部は濃い緑色、背中は黒色です。お腹の羽色はわずかにピンク色をしています。
オスのカワアイサ、頭部の濃い緑の羽が朝日に照らされてとても綺麗です。
朝陽を浴びながら羽を羽ばたかせるカワアイサのオス。
悠然と泳ぐカワアイサのオス。とても気品のある顔立ちです。潜って魚を捕食します。
ミコアイサのハーレムを写す
群れで泳ぐミコアイサ(英名;Smew、体長 42p)の一家。オスは真っ白な身体に、目の周りや頭部、背中の一部の黒い羽とのコントラストが強烈で遠目にもすぐにそれと判別できます。メスは栗色の頭部、ノドは白、背中はくすんだ茶褐色をしています。
ゆったりとランデブー。魚や川エビ、貝をたくさん食べたのかな?
メス同士のおしゃべりタイム。
獲物をくわえたメスを追いかけるオス。飛んでいる姿から、メスは焦げ茶色、オスは黒色の羽を持っていることがわかります。
春先はヤマセミの恋の季節
夜もまだ明けきらない早春の河原でヤマセミ(英名;Greater Pied Kingfisher、体長 38p)のつがいが愛の籠った鳴き交わしを始めました。左側のメスが「ケッ、ケッ」となくと今度は右側のオスが「ケッ、ケッ」と鳴き返します。
オスのヤマセミ、頭、背中と胸の一部が白と黒のまだら模様、お腹は白、首と胸のわずかな部分が薄茶色をしています。
メスのヤマセミ、頭、背中と胸の一部が白と黒のまだら模様お腹は白です。
愛を語らい始めてからおよそ2時間、ようやく谷の中まで日差しが届いてきました。
だんだんと温かさを増していく日差しを楽しむようにちょっと飛びあがって止まり木を変えたりながら二羽の語らいは続きました。
メスがとても優しいまなざしでオスの飛んでいった方角を見詰めます。
しばらくするとオス、メス二羽はどちらともなくまた同じ止まり木に戻ってきました。
オスが川の中頃の流木の枝にやってきました。
水面を少しの間見詰めてから川に飛び込みました。獲物は取らずに戻ってくるとのんびりと羽繕いを始めました。
春先、ツガイとなったヤマセミは関東ローム層が7〜10mむき出した人目に付きにくい崖面に巣穴をほって子育てをします。巣穴をほるのに適した赤土の崖は護岸工事などで限られた場所にしかなくなってきています。この日ヤマセミのつがいが見せてくれたい愛くるしい姿を撮影できたことはとても幸せなことであったと思います。極端に人目を嫌うヤマセミに子育てができる環境を残し続けていかなければならないと強く感じました。
コマドリの唄
コマドリ(英名;Japanese Robin、体長 14p)は日本や樺太などで繁殖し、台湾や中国南部方面で越冬します。標高1600m以上のササやぶのある林が春めいてくると南の国からやってきたコマドリは恋の相手を決めて子育てに入ります。オスはメスの気を引くためにササやぶの中から見晴らしのよい木の枝や倒木の上に登って高い張りのある声で唄います。この鳴き声の聞きなしが「ヒン、カラカラカラ」と馬のいななきに似ていることでコマドリと呼ばれるのだそうです。
小雨の舞うコマドリスポットでじっと待っていると、ついにやってきましたコマドリです。
こちらはかなりほっそりとしたコマドリ、かなりのイケメンのようですね。
小さな流れのあるササやぶのある沢を登っていくとササやぶからコマドリが出てきました。
岩の間をパタパタと飛びあがって移動していきます。羽を振り上げた瞬間のかわいらしい表情をパチリ!
岩場を流れ落ちた水玉が跳ね上がりコマドリと共演?したところです。
コマドリの住むササやぶの林の入り口辺りからあこがれの大きな唄声が聞こえてきます。そっと近づいて声のしている場所を探すと、・・・。いました、苔むした倒木の枝先で一生懸命歌っているコマドリです。
口を目いっぱい開いて何度もいななきます。ついに唄うコマドリを撮影できました。
メスのコマドリはこれまでお目にかかれていません。図鑑で見るとオスよりも全体的に薄い色合いで茶褐色の頭部と灰色の胸部の境目がはっきりしない地味な羽色をしています。
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