沖縄島辺戸岬から望む北の海
今年の夏、昨年の秋に続いて二回目の沖縄と宮古島を訪ねました。真夏の海と森で出会った野鳥たちをご紹介します。
沖縄県の県鳥、ノグチゲラ
キツツキ科のノグチゲラ(英名;Okinawa Woodpecker、体長 31p)は沖縄島だけに見られる日本の固有種で国の特別天然記念物です。
森の遊歩道で木の実を食べに来ていたノグチゲラを間近に見ることができました。
ノグチゲラはカメラは苦手のようで、すぐに森の奥に飛び去ってしまいました。
沖縄島に住むホントウアカヒゲ
こちらは沖縄本島にだけ住むアカヒゲ(英名;Ryukyu Robbin、体長 14p)の亜種 「ホントウアカヒゲ」 (メス)です。奄美大島に住んでいるアカヒゲと区別するためホントウアカヒゲと呼ばれています。本当はオスも撮影したかったのですがチラッとしか姿を見られず希望は叶いませんでした。
アカヒゲはコマドリ(英名;Japanese Robin)の近縁種で共にヒタキ科の小鳥です。ここではお見せできずとても残念ですが、アカヒゲのオスは顔の前側半分から胸にかけて真っ黒なのが特徴です。
早朝の林道で採餌するホントウアカヒゲ(♀)、メスは特にコマドリに似ています。
辺戸岬の崖下の浅瀬を泳ぐ色鮮やかな熱帯の魚たち。上から望遠レンズでこんなにきれいに写せます。
沖縄の珍鳥、ヤンバルクイナ
沖縄島の山原(やんばる)地区に生息しているヤンバルクイナ(英名;Okinawa Rail、体長 35p)は意外に人里近くの森に暮らしています。
夜明け前に宿を発ってヤンバルクイナの出没地に向かいます。
あたりが明るくなってきたそのときヤンバルクイナが現れました。
ヤンバルクイナは好物のミミズを食べに道路の上や側溝の泥の中を探して歩きます。
大胆にも道の真ん中でもエサ探しです。
スタスタとカメラのすぐそばまで近づいてきて短いレンズに変える間もありません。
仲良しのクロサギ
海岸の岩場に止まる二羽のクロサギ(英名;Pacific Reef Heron、体長 58p)。クロサギの黒色型と白色型のペアです。
岩の上に止まっていたクロサギ(黒色型)が一声鳴きました。クロサギは黒色型が一般的ですが奄美大島以南には白色型がよく見られるようです。
鳴き声につられるように白色型は近くの岩に止まりました。
黒色型の止まっている岩に白色型がやってきました。よく見ると白色型の羽には小さな黒斑があります。若鳥のようです。
岩の周囲を回るようにお互いに相手の様子を伺っていましたが、どうやら相手が気に入ったようですね。
この可愛らしい子は誰?
夜も明けたばかりの畑にポツンと一羽たたずんでいたのはなんとツバメチドリ(英名;Indian Pratincole、成鳥の体長 23p)のヒナドリです。
カメラに向かって「はい、ポーズ。」このあたりで生まれた子供のようです。
こんなに近くに近寄ってきてすまし顔のツバメチドリのヒナドリ。
別な畑で採餌しているツバメチドリの群れに出会いました。飛んでいる親鳥。顔から上面は暗灰褐色ですが、お腹から腰は白色です。
ツバメチドリは農耕地などで飛んでいる昆虫を捕食します。こちらはバッタを捕らえたツバメチドリです。
農道にできた水たまりで水を飲むツバメチドリの家族。
海も空も野鳥たちも別世界の宮古島
宮古島は沖縄島から300qほど南西にあり石垣島などとともに先島(さきしま)諸島と呼ばれています。緯度的には台湾の台北よりもやや南の亜熱帯に位置しています。本州から行くと気候も鳥相も別天地です。
とても優雅なコアジサシ
南国の海に舞うコアジサシ(英名;Little Tern、体長 24p)はとても素敵に見えます。
澄み切った波打ち際でエサをねだるコアジサシのメス。こんなきれいな海でこれから家族を作るなんて羨ましいですね。
子育て中のエリグロアジサシ
海辺に近い岩場で子育てしているエリグロアジサシ(英名;Black-naped Tern、体長 31p)と出会いました。
二羽のエリグロアジサシが岩に止まって動きません。どうやらこの岩のどこかに巣穴があるようです。
別な岩ではつがいのエリグロアジサシがヒナに給餌しています。画像を拡大すると巣穴からヒナの顔が見えているのがわかります。
ヒナの様子を見守るエリグロアジサシの親鳥。
エリグロアジサシの群れが沖合で採餌しているところをシャッターを切ったのですが海の中から飛び上がったマグロが写っていました。
エリグロアジサシの子育ては美しい海に見守られているようですね。
宮古島のサンゴ礁の海には写真のような大きな岩がゴロゴロと転がっている場所があります。大岩の向こうにわずかに白波が見えているところまでがサンゴ礁でその向こうに水深の深い外海が広がっています。サンゴ礁にある大岩はかつて巨大な大津波が運んできたものだそうです。
ベニアジサシの舞う海
黒い帽子に真っ赤な嘴と脚が自慢のベニアジサシ(英名;Roseate Tern、体長 39p)に宮古島で会うことができました。沖縄島では見つけられなかったので大感激でした。
水面近くを飛んでいるベニアジサシの群れを見つけました。
岩場で暮らすマミジロアジサシ
波に洗われる岩場でマミジロアジサシ(英名;Brided Turn、体長 36p)を間近に撮影しました。
飛んでいる姿はとてもスマートです。
羨ましいほど仲良しのツガイです。
のどかな岩場の暮らしです。
クロアジサシのコロニー
わずかに緑の植物が生える岩礁の上にクロアジサシ(英名;Brown Noddy、体長 42p)を見つけました。
クロアジサシはコロニーを作って暮らしています。中央の親鳥のすぐ前には産毛に包まれた雛鳥もいます。
画面左奥の二羽は幼鳥と思われます。
飛翔するクロアジサシ。
オスが子育てするミフウズラ
畑の縁を4羽のヒナを連れて採餌しているミスウズラ(英名;Barred Buttonquail、体長 14p)の親子に出会いました。ミフウズラは抱卵、育雛をすべてオスが行います。
人の気配に気づいてミフウズラの親子は足早に草の茂みに消えていきます。10円玉くらいの小さなヒナたちを連れた親子が草むらの中を歩いてもその気配は全く分かりません。
こちらはミフウズラのメスです。メスの頭部は灰色で薄い褐色のオスと区別がつきます。
オスだけが子育てする野鳥にはタマシギやレンカクなどがあります。
何度も会えたシロハラクイナ
シロハラクイナ(英名;White-brested Waterhen、体長 32p)はとても用心深くゆっくり撮影するのがむつかしい鳥です。親子で採餌するシロハラクイナを見つけました。。
バッタを捕らえて物陰に急いでいるところです。
シロハラクイナはスマートな姿とエレガントな顔立ちをしていて私の大好きな南国の野鳥です。。
森の奥深くにひっそりと暮らすオオクイナ
夕暮れの時刻に森の中の水場にやってきたオオクイナ(英名;Slaty-legged Crake、体長 26p)のメスです。オスは頭から胸の部分が赤褐色ですが、メスは全体が薄い褐色の地味な羽色です。
オオクイナは水場で丹念に水浴びをして体の汚れを落としました。
水浴びのあと大きく羽を羽ばたいて体の水気を落とします。
すっかり身ぎれいになった姿でお立ち台に立ってポーズをとってくれました。
南国に住むキンバト
キンバト(英名;Emerald Dove、体長 26p)は赤道近くの南の国に多く住んでいます。日本では宮古島や石垣島など先島諸島だけで見られます。写真は夕暮れの森の水場にやってきたキンバトのオスです。オスは目の上から額にかけてと小雨覆いの一部が白く、メスは全体に色合いが鈍い感じです。
キンバトは水を飲むと暗い森の中に消えていきました。
早朝、森に入っていく小道で採餌するキンバトのツガイに出会いました。向かって右がオスです。キンバトの上面の羽色は金緑色で名前の由来です。
南国の朝
宮古島の海岸で見た夜明け前の海です。
このコーナーでは沖縄本島や宮古島で出会った琉球諸島に住む本州では見ることのできない亜種の野鳥をご紹介します。
ヨナクニカラスバト
宮古島の森でヨナクニカラスバト(英名;Japanese Wood Pigeon、体長 40cm)のツガイを見つけました。カラスバトと比べると体の金属のような光沢が少ないのだそうです。
こちらは一緒にいた個体です。顔つきが優しい感じでメスと思われます。
リュウキュウアカショウビン
宮古島にいたリュウキュウアカショウビン(英名;Ruddy Kingfisher、体長 27p)です。夕方、森の水場に水浴びにやってきました。
こちらは沖縄本島で見かけたリュウキュウアカショウビンです。本州にやってくるアカショウビンと比べて上面の羽の紫の色味が強く、鳴き声もキョッ、キョロロー、キョロッキョロッなどと小さめで伸びがありません。
リュウキュウキジバト
リュウキュウキジバト(英名;Oriental Turtle Dove、体長 44p)のツガイです。
リュウキュウキビタキ
夕暮れの水場で水浴びして濡れそぼっているリュウキュウキビタキ(英名;Narcissus Flycatcher、体長 18p)です。種子島以南の南西諸島で留鳥として暮らしています。
リュウキュウサンコウチョウ
夕暮れ時、森の水場にメスのリュウキュウサンコウチョウ(英名;Japanese Paradise Flycatcher、体長♀18p、♂45p)が)水浴びにやってきました。
今度はオスのリュウキュウサンコウチョウが水浴びです。リュウキュウサンコウチョウは奄美以南の南西諸島にやってきて繁殖しています。見た目には本土に渡ってくるサンコウチョウとほとんど違いはないようです。
琉球諸島に住む野鳥たち(続き)
リュウキュウツバメ
畑の散水栓に止まって休むリュウキュウツバメ(英名;Pacific Swallow、体長 14p)。
リュウキュウツバメは奄美大島以南に暮らしています。渡り鳥のツバメ(英名;Barn Swallow、体長 17p)よりやや小さく、胸からお腹は灰褐色です。
リュウキュウハシブトガラス
琉球諸島には亜種リュウキュウハシブトガラス(英名;Large-billed Crow、体長 50-55p)が暮らしています。ハシブトガラスよりもやや小さくくちばしやおでこの形も小ぶりです。琉球諸島にはハシボソガラスはいません。
リュウキュウコノハズク
夕日の差し込んでいる森にコホォ、コホォとリュウキュウコノハズク(英名;Ryukyu Scops Owl、体長 22p)の声が響きました。樹上を探すとこちらをにらんでいるリュウキュウコノハズクと目が合いました。
リュウキュウヨシゴイ
早朝の農耕地を探鳥していると大きな鳥が飛んできて樹上に止まりました。お腹に何本か縦班の有るリュウキュウヨシゴイ(英名;Cinnamon Bittern、体長 40p)のメスでした。
今回の沖縄本島と宮古島の探鳥旅行はたくさんの野鳥に出会うことができたとても印象深い旅でした。
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