5月中頃稚内、利尻島など早春の北部北海道を探鳥旅行しました。
旅の初日
稚内空港到着前に機上から見えた風力発電の風車が林立する草原。
早春のサロベツ原生花園はまだ冬の気配が残っていて鳥影はとても少なかったです。
巣材集めをしているニュウナイスズメ(英名;Russet Sparrow、体長 14p)
近くを飛んだトビ。オオジシギもちらりとディスプレイ飛行をしてくれたり、草原をノビタキの群れが採餌したりしていましたがシャッターチャンスは訪れませんでした。
サロベツ湿原の元の原生花園跡地に回ってみました。
一羽のツメナガセキレイ(英名;Yellow Wagtail、体長 16.5p)が芽吹き始めた木の枝に止まっているのを見つけました。しかしシャッターチャンスはこの時だけでした。
湿原の枯れた葦の中にはハシビロガモ(英名;Northern Shoveler、体長 50p)の小群が隠れています。綺麗な夏羽です。
池の奥の方の水面近くの木の枝にはアカエリカイツブリ(英名;Red-necked Grebe、体長 47p)のツガイが小枝を集めて巣作りの真っ最中です。
草原ではノビタキ(英名;Common Stonechat、体長 13p)が顔を出しました。
サロベツ原野の西側の道路を宗谷岬に向かって北上しながら、途中3か所ほど漁港に立ち寄って港内を探鳥していきました。
最初に立ち寄った港にはキアシシギ(英名;Grey-tailed Tattler、体長 25p)の群れがいました。
キアシシギたちは港の奥の漁船を格納する水深の浅い場所に水浴びに来ていたようです。
一頻り水を浴びて飛び立つキアシシギの群れ。
次に立ち寄った漁港ではシノリガモ(英名;Harlequin Duck、体長 43p)一羽を見つけました。羽の色合いから若い雄のようです。
港の出入り口に近い場所にウミアイサ(英名;Red-breasted Merganser、体長 55p)の大きな群れが入って来ていました。餌の小魚などを追って入ってきたのでしょうか。
人の気配を感じて飛び立つミコアイサの群れ。
波消しブロックの上で休息するゴマフアザラシ(英名;Harbor Seal)の群れ。
セグロカモメ(英名;Herring Gull、体長 61p)の家族。
明日渡航する利尻富士は雲に隠れて見えません。
北海道最北端宗谷岬灯台。
二日目ハートランドフェリーで稚内港を出発、一路利尻島へ
朝7時過ぎに稚内港を出発、船上から海鳥を探しました。
早速オオハム(英名;Black-throated Loon、体長72p ♂)が姿を見せてくれました。
フェリーが沖合に出ると航路を避けて飛び去るウトウ(英名;Rhinoceros Auklet、体長 38p)の群れがたくさん見られました。
一瞬飛んだ一羽のウミスズメ(英名;Ancient Murrelet、体長 24p)。
ウミネコ(英名;Black-tailed Gull、体長 46p)の群れ。左下の脚のピンクの個体は嘴の先が黒く若いカモメか?
ミツユビカモメが(英名;Black-Legged Kittiwake、体長 41p)がフェリーの横を後方に飛んで行きました。
シャッターチャンスはこの時だけ!残念ながらピントが甘かったです。
濃いこげ茶色をしたハシボソミズナギドリ(英名;Short-tailed Shearwater、体長 42p)の群れが次々とフェリーを避けて飛んでいきます。
アカエリヒレアシシギ(英名;Red-necked Phalarope、体長 18p)の群れがハシボソミズナギドリの群れと一緒に飛んでいきます。
広い海原を飛ぶアカエリヒレアシシギはとても小さく見えます。
二時間弱の乗船時間でフェリーは利尻島の鴛泊(おしどまり)港に到着しました。
早速お目当てのクマゲラ(英名;Black Woodpecker、45-46p)の観察ポイントへ移動し待つこと2時間あまり、ようやく抱卵交代時間となりメスのクマゲラ(後頭部が少しだけ赤色)が巣穴の近くにやってきました。
近くにメスがやってきて間もなく、巣穴からオスが飛び出していきます。
メスのクマゲラは巣穴の様子を入念に確認すると中に入っていきました。
クマゲラポイントからコマドリの鳴き声などを聞きながら移動しているとき目の前の樹上に何かが止まりました。
逆光気味だったのでプラスに露出補正してピントを合わせるとそれは綺麗なオオルリ(英名;Blue-and-white Flycastcher、体長 16-16.5p)のオスでした。
バスで移動中これまで雲に隠れていた利尻富士がくっきりと姿を現しました。
望遠レンズを通して頂上付近を写してみるとまるで北アルプスの槍ヶ岳のような急峻な岩山が雪に覆われています。
海岸に突き出した岩の上で営巣しているセグロカモメ(英名;Herring Gull、体長 61p)。
波打ち際の岩場で羽を休める二羽のヒメウ(英名;Pelagic Cormorant、体長 73p)。傍にいるのはウミネコ(英名;Black-tailed Gull、体長 46p)。
大きな波の打ち寄せる岸近く、波に乗りながら採餌するアカエリヒレアシシギ(英名;Wilson's Phalarope、体長 23p)の大群。
沖合で顔や腕を出して遊んでいる?アザラシの家族がいます。
草むらに目を移すとノドが鮮やかな赤色のノゴマ(英名;Siberian Rubythroat、体調 15-16p)がいます。
運動場のフェンスに止ったノビタキ♀(英名;Common Stonechat、体長 13p)。
イスカ(英名;Red Crossbill、体長 16-17p)がもみの木の上に止りました。
赤味のある羽色からオスです。
マヒワ(英名;Eurasian Siskin、体長 12-13p)の群れがやってきました。
利尻島はちょうどこの時期サクラの花が咲き始めたところです。
三日目利尻島で早朝から探鳥
利尻島の山林は木々の間に笹薮が広がっている。笹薮のあちこちからは馬のいななきにも見立てられるコマドリ(英名;Japanese Rpbin、体長 14p)のさえずりが聞こえてきます。笹野は陰で囀るコマドリはなかなか見つけられないが、たまにお気に入りのソングスポットに出てくる時がシャッターチャンスになります。
朝の食事時間、木々の間を飛び回って餌を探すアカゲラ(英名;Great Spotted Woodpecker、体長 24p)。
ツガイなのでしょうか、二羽で採餌するヒガラ(英名;Coal Tit、体長 11p)を見かけました。
ヒガラ(英名;Willow Tit、体長 13p)も採餌しに出てきました。
シジュウカラ(英名;Japanese Tit、体長 15p)も一生懸命にに採餌しています。
川岸の小枝にキビタキ(英名;Narcissus Flycatcher、体長 13.5)が止りました。若い雄のようです。
川べりの小枝に何かが止まりました。一瞬でしたのでピントが大甘の写真をようく見てみると何と珍鳥オジロビタキのオスです。オスは初めての撮影です。
次には河原の中ほどの岩の上にルリビタキ(英名;Red-flamked Bluetail、体長 14p ♂)が登場しました。
そして春の利尻島にふさわしい珍鳥、マミジロキビタキ(Yellow-rumped Flycacher、体長 13p ♂)が姿を見せてくれました。
マミジロキビタキはたちまちに川の上流のほうに飛び去って行きました。
キョーン、キョーンと鳴く大きな声のする彼方の木のてっぺんにクマゲラ♂が止りました。あまりに遠く証拠写真です。
ジュリリッ、ジュリリリと鳴きながら姿を現したのは北海道でしか見られないシマエナガ(英名;亜種の英名は不明です。)、こちらも初めての撮影でした。
シマエナガの顔から頭の色は白一色、赤味を帯びた眼がちょっと怖いかも。
嘴が冬の引く色から夏の青灰色に変わった夏羽のシメ(英名;Hawfinch、体調 19p)。
正体不明のワシが出現しました。不鮮明な写真でしか判別できませんが、いくつかの図鑑の中でカラフトワシ(英名;Greater Spotted Eagle、63-73p)が近いかも!全体的に黒褐色で嘴の基部、ロウ膜部分が僅かに黄色がかり、広げた羽の形が長方形であるなどが、他のワシタカと異なるように思えます。
ぼんやりではありますが正面顔はちょっとかわいらしい感じもします。
ただし、肩の一部が白く見えるのでカタシロワシの可能性もありそうです。
公園の奥でオオダイサギ(英名;Great Egret、体長 98-104p)が採餌しています。前ボケのピンク色はサクラの花です。
綺麗な夏羽のカシラダカ(英名;Rustic Bunting、体長 15p ♂)が池の端で餌探ししています。
緑の草の中で黒、白、赤茶の羽色がくっきりと浮き上がっています。
利尻島のお別れはノビタキ君でした。
この時期に利尻島で見られる野鳥は想像以上に数多く色どりも鮮やかでとても堪能できました。フェリーは足早に鴛泊港を後にして波高い外海に出ていきます。
四日目、北海道朱鞠内公園を探鳥
早朝の朱鞠内公園は人影も少なく野鳥たちの楽園といった雰囲気であった。ちらりと目に止ったのは植え込みの陰で採餌しているコルリ(英名;Siberian Blue Robin、体長 14p)でした。
芝生の上ではアカハラ(英名;Brown-headed Thrush、体長 24p)が獲物を探して走り回っています。
人の気配を察してヤマゲラ(英名;Grey-headed Woodpeker、体長30p)が地面から樹上に飛び上がりました。
ヤマゲラはアリが主食なので地面に降りて採餌することが多いのだそうです。
ビンズイ(英名;Olive-backed Pipit、体長 16p)が樹上にやってきました。
何やら囀り始めましたが、もう少し撮影の場所を変えようと動いたところ飛んでしまいました。
営巣しているニュウナイスズメ(英名;Russet Sparrow、体長 13.5p)の巣穴を見つけました。メスが巣材の木の葉を運び込んでいます。
こちらではニュウナイスズメのカップルが交尾を繰り返しています。まだ沢山残雪が残っていますが、今がちょうど子育て開始の時期なのでしょう。
コガラ(英名;Willow Tit、体長 13p)は独力で巣穴を掘って子育てするのだそうです。
ミヤマカケスは北海道に生息しているカケス(英名;Japanse Jay、体長 33p)の亜種(subspecies)です。厳めしい顔つきのカケスに比べるとかわいらしい印象です。
樹上で囀るミヤマカケス、声は本家カケスとあまり変わらないしゃがれ声です。
マミチャジナイ(英名;Eyebrowed Thrush、体長 21.5-22p)が地上に降りて何やら物思いでもしている風情です。
広場の芝生でじっと耳を澄まして獲物の気配を伺うマミチャジナイ。
一気のダッシュで見事にミミズをゲットしたマミチャジナイ。
「ちょっと一杯ぐびー」の鳴き声の方を見上げると、居ましたセンダイムシクイ(英名;Eastern Crowned Warbler、体長 13p)です。
アカゲラ(英名;Great Spotted Woodpeker、体長 24p)のメスが地面に降りて熱心に餌を探していました。
アオジ(英名;Black-faced Bunting、体長 16p)が芽吹き始めたばかりの木の枝に止りました。名調子のさえずりはまだちょっと時期尚早なのでしょうか。
エゾエンゴサク(英名;Corydaris Tuber)の可憐な花が日当たりのよい場所に咲いていました。
北海道、利尻島の四日間の旅はあっという間に終わってしまいました。
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