大洗・苫小牧航路の海鳥に逢いに
今年の3月に大洗港と苫小牧港とをフェリーで結ぶ北海道航路で海鳥を探鳥する企画に参加しました。大洗を深夜に出発し18時間後の翌日夕方に苫小牧に到着、再び苫小牧を深夜に出て夕方大洗に着くまでの日の出から日暮れまでの間、総トン数11,410トンのフェリー「サンフラワー だいせつ」の甲板から船に近づいてくる海鳥を探しました。幸い天候には恵まれましたが近くにやってきてくれた鳥の種類と数が期待したほど多くなくやや期待外れの旅となってしまいました。
船の甲板から見る日の出時間の海の景色はとても雄大で美しいです。
金華山沖あたりでウミネコ(英名;Black-tailed Gull、体長 46p)が船の近くを飛んでくれました。
ウミネコの特徴は尾羽の太い黒帯です。頭部は夏羽で白色です。ウミネコはカモメより少し大きく鋭い目つきをしています。
カモメ(英名;Mew Gull、体長 45p)も飛んできました。カモメの尾羽には黒帯はなく目つきは優しい感じです。
ウミウ(英名;Japanese Cormorant、体長 84p)もやってきました。ウミウはカワウと比べて頬の白い部分が広く目の上まで膨らんでいること、黄色い口角部分が三角形に尖っていることなどで区別できます。ここまでは比較的近くにやってきてくれた海辺でもよく見かけることができる鳥たちをご紹介しました。
離れたところに姿を現したウトウ
船のデッキから遠くに現れた海鳥を撮影する場合、鳥に近寄ることはできません。今回撮影した海鳥は600o相当の望遠レンズを付けたカメラで手持ち撮影しました。それでも上の写真のようにウトウ(英名;Rhinoceros Auklet、体長 38p)はとても小さくどんな鳥なのかはっきりしません。
同じウトウの写真をトリミングしてもこの辺が限度です。以下、遠くから写した海鳥はトリミングしたものでご紹介します。
ウトウが飛んでいる姿はちょっと太目で可愛らしいですね、北海道の天売島やユルリ島などで繁殖し九州以北の海上で生活しています。
比較的近くから撮れました。目の後ろからと嘴の根元から白い飾り羽が生えています。黄色で太い嘴の付け根には白い突起が出ています。アイヌ語で突起のことを「ウトウ」と呼ぶのだそうです。
こちらはハシブトウミガラス(英名;Thick-billed Murre、体長 39〜43p)です。頭から背中が黒色、お腹側が白色です。近似種のウミガラスは頭から背中が褐色味があり脇の白色部に黒褐色の小班があります。
北太平洋と北大西洋で繁殖し日本では冬鳥で本州中部以北の海の上で見ることができます。
船の探鳥の魅力は海上で生活している海鳥を見ることができることです。
こちらは海鳥の中では小形のウミスズメ(英名;Ancient Murrelet、体長 26p)です。数羽の群れで海上に浮かんでいますが船が近づくとすぐに潜水してしまいなかなか撮影の難しい鳥です。
採餌するオオミズナギドリの群れ
オオミズナギドリ(英名;Streaked Shearwater、体長 49p)は北海道から琉球諸島付近までの日本近海に広く分布し普通に見ることができます。フェリーの遥か彼方の海上で大きな群れが小魚を狙っていました。
海面すれすれを飛んでいくウミアイサ(英名;Red-breasted Merganser、体長 55p、♂)を見かけました。
ユニークな模様のシノリガモ(英名;Harlequin Duck、体長 43p)のツガイも飛んできました。(左側がオスです。)
かなり遠くの海上をミツユビカモメ(英名;Black-legged Kittiwake、体長 38-44p)の群れが飛んでいました。飛んでいる姿はとてもエレガントに見えます。
ミツユビカモメが一羽、海面で休んでいます。ちょうどユリカモメと同じくらいの大きさですが、黄色の嘴が可愛いですね。
夕暮れ時にフェリーに近づいてきたのはトウゾクカモメ(英名;Pomarine Skua、体長 49p)です。太平洋側の沖合で時々観察されるトウゾクカモメは、カモメ類やミズナギドリ類と一緒に飛び回っていることが多いようです。自分で魚などのエサを取るより他の海鳥の獲物を横取りするほうが多く名前の由来となっています。
撮影したこのトウゾクカモメは一羽単独で悠然と飛んでいました。
きっとお腹が一杯でこれからお休みになるところだったのでしょうか。
一瞬、アザラシが姿を見せてくれました。
三陸沖ではシャチの家族に出会いました。シャチがここまで南下してくることは珍しいことなのだそうです。
帰りの航路でこの春引退間近の「サンフラワーふらの」と行き違いました。
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