キナバル山の野鳥
ノドジロオウギビタキ
ノドジロオウギビタキ(英名;White-throated Fantail、体長18p) 林内を枝から枝へと忙しく採食移動していました。マレー半島、スマトラ島、ジャワ島に分布する野鳥です。
ボルネオモズヒタキ
ボルネオモズヒタキ(英名;Bornean Whistler、体長16p)ボルネオ島の山地にだけ生息している固有種で林の木々の中ほどに住む昆虫を主食にしています。
鮮やかな熱帯林の花
ボルネオの青い鳥、赤い鳥
濃い緑に包まれた南国の森の中では、目を凝らし耳を澄まして様子を伺っていると多様な色や形の野鳥たちが活発に活動していることに気付きます。
アイイロヒタキ
こちらはアイイロヒタキ(英名;Indigo Flycatcher、体長 14p)ボルネオでは北部の山林の一部だけに生息している留鳥です。スマトラやジャワでも見られるようです。夏になると日本の山林に渡ってくるオオルリやコルリとよく似たきれいなブルーの羽を持っています。あまり人を怖がらず、道路わきの樹木の梢に止まって飛翔昆虫をフライキャッチします。
沢山の葉が茂った木の中にいる小さなアイイロヒタキを写すのはなかなか大変です。
ミヤマタイヨウチョウ
真紅の羽が美しいミヤマタイヨウチョウ(英名;Temminck's Sunbird、体長 11p)は、花の咲いている大木の枝先を飛び回って蜜を吸ったり小さな昆虫を捕食します。チチッ、チチッ、チチッとよく通る鳴き声はしていてもなかなか見つけられないこの鳥を初めて見た時の驚きは今も忘れません。小さな体なのにその真紅の羽の色の素晴らしさに圧倒されて、何枚もシャッターを切りました。
ミヤマタイヨウチョウはマレー半島、スマトラ島それにボルネオ島に生息しています。
よく茂った葉の中を飛び回って採餌していますが、一瞬全身が見えるところに止まってくれました。
メスのミヤマタイヨウチョウ
こちらはメスのミヤマタイヨウチョウです。オスとは全く違う種類の鳥と思えるほど地味な色合いですね。
シロハラアナツバメ
昼食をとった山のレストランの軒下にはシロハラアナツバメ(英名;Glossy Swiftlet、体長 9p)が営巣中でした。巣材は苔などの地衣類を使っているようです。キナバル山の山頂辺りまで広範囲に生息しています。空中で採餌するときには白いお腹が見えます。
チャガシラガビチョウ
チャガシラガビチョウ(英名;Chestnut-Hooded Laughing-Trush、体長 25p)はボルネオ島をキナバル山から南に走る山脈地帯の森で.普通にみられる鳥です。
中国から日本に移入され日本の一部地域で野生化している「外来種のガビチョウ」と同じ仲間です。ボルネオのチャガシラガビチョウは羽の色も顔かたちもなかなかチャーミングですね。
英語名の Laughing-Trush は「笑うツグミ」という意味ですので、きっと日本のガビチョウと同じように良い声で歌うと思いますが、この時は歌ってくれませんでした。
チャバネガビチョウ
チャバネガビチョウ(英名;Sunda Laughing-thrush、体長 25p)は前掲のチャガシラガビチョウと同じくボルネオの山岳地帯で生活しています。またスマトラ島やジャワ島にも分布しています。
ボルネオではいつもチャガシラガビチョウと混群を作って行動しています。この時も二種類のガビチョウは入れ違いに出てきてくれました。
ボルネオの森がはぐくむ個性的な野鳥たち
キエリゴシキドリ
ボルネオ島の固有種、キエリゴシキドリ(英名;Golden-Naped Barbet、体長 20p)森の木々の間を飛び交い、木の葉の茂みの中で木の実を探します。羽の色が木の葉そっくりでなかなか見つけにくい鳥です。赤い実をつけた細長い葉っぱの木の中にいた個体をカメラに捕らえた時は、これぞ南洋の鳥だと感じました。
この鳥に逢うにはたくさん実のなった木を探して早朝からそこで待っているのが良いのだそうです。
お腹いっぱい木の実を食べてとても満足そうです。
遠く離れた高木に止まるキエリゴシキドリを葉の隙間から狙いました。
ボルネオクリミミチメドリ
ボルネオクリミミチメドリ(英名;Chestnut-crested Yuhina、体長14p)はボルネオ島の固有種で山林の中を移動しながら木の実や果実、昆虫などを捕食している。薄暗い森の中にいても白いお腹や栗色の頭部の羽色が目立ち、比較的見つけやすい。
ノドジロサザイチメドリ
ノドジロサザイチメドリ(英名;Mountain Wren-Babbler、体長15p)はボルネオ島の固有種で標高1500mから2600mの山地の森に住んでいます。希少種でなかなか見ることができないということですが、今回は運よく歩道の脇まで何回も出てきてくれました。
英名の意味は「よくさえずる山のミソサザイ」です。鳴き声はボルネオの野鳥図鑑によると、チィー、チィー、チィーヨーと聞こえるようですが、写真を写したときは鳴きませんでした。
カメラを向けていると一瞬こちらを向いて「何してるんだい?」と言っているようでした。
メグロメジロ
メグロメジロ(英名;Mountain Black-eye、体長 14p)はボルネオ島の固有種で標高3000m前後の亜高山帯で花の蜜や果実を食べて暮らしています。
今回の撮影場所は標高1700mほどの山地熱帯雨林でしたが、花の蜜を求めてここまで降りてきたようです。
写真の写りはよくないですが、画像を拡大するとピンクの花の蜜を食べている様子がわかります。
ズグロメジロ
ズグロメジロ(英名;Black-capped White-eye)はメグロメジロよりもさらに小さく体長11pの小ささです。ボルネオ島での分布はメグロメジロとほぼ同じところで生活しています。スマトラ島にも生息しています。
頭部がクロっぽいウグイス色をしていて、真っ白なアイリングがとても良く目立ちます。
鮮やかな熱帯林の花
熱帯雨林の中の植物たちは目立つ花をつけて野鳥や虫たちを呼び寄せているようです。
豊かな森に育まれて
赤道直下のボルネオ島は面積が日本の約2倍の世界で3番目の大きな島で、熱帯雨林におおわれています。島の北西部にそびえるキナバル山中の熱帯雨林で野鳥を探索中、何度か小さなリスたちに出会いました。上の写真はボルネオヤマスンダリスです。
ボルネオヤマスンダリス
上の写真はボルネオヤマスンダリス(英名;Jentink's Squirrel)尾までの体長は25pほどで木の幹をするすると上ると枝をチョコチョコと移動して食べ物を探していました。
ボルネオヤマスンダリスは果実を食べて暮らしています。時に果実を食べる野鳥の群れに混じって行動し、いち早く危険を予知する小鳥たちの力を借りて猛禽類から身を守っているのだそうです。
チビオスンダリス
こちらはチビオスンダリス(英名;Low's Squirrel)、尾までの体長は10p〜15pのとても小さなボルネオ島固有のリスです。木の皮や昆虫を食べます。
身体を木の枝に擬態しているつもりなのでしょうか、枝に張り付くようにしてしてじっとしてこちらの様子を伺っています。
キナバルカンムリワシ
青く晴れ渡った国立公園のはるか上空に現れたのはキナバルカンムリワシ(英名;Kinabalu Serpent Eagle、体長55p)ボルネオ島北部から中部までの標高900m以上の高山地帯にだけ生息しているボルネオ島の固有種です。
スンダウグイス
スンダウグイス(英名;Sunda Bush-Warbler、体長13p)は亜高山帯から標高3700mまでの森林地帯に住んでいます。日本や朝鮮、中国に分布するウグイスよりも少し小さく、鳴き声も小さな声で「ウィーチュア、チィーウィー」などと鳴きます。
笹竹のやぶの中などをすばしこく動き回って採餌していました。
ボルネオヘキサン
ボルネオヘキサン(英名;Bornean Green Magpie、体長 32p)を探して薄暗い森のトレイルを進んでいくと、葉の混んだ樹上をゆっくり動きながら移動している大きな鳥を見つけました。
お目当てのボルネオヘキサンです.。葉の陰に身体を隠しながら何かを食べていました。
ベニサンショウクイ
ベニサンショウクイ(英名;Grey-chinned Minivet、体長 17p)のオス。大きな木の上の方で小さな昆虫やクモなどを食べます。
オスは緋色のお腹が目立ちます。メスは撮影できませんでしたが、オスと違ってお腹の色が鮮やかな黄色をしています。
ビロウドゴジュウカラ
ビロウドゴジュウカラ(英名;Velvet-Fronted Nuthatch、体長 12p)は東南アジア各地に生息していて、ボルネオ島の標高2200m以下の森林内でも見られる鳥です。足と嘴がとても綺麗な赤色をしています。
初めて見たビロウドゴジュウカラのユニークな身体の色はとても印象に残りました。
ハイイロオウチュウ
ハイイロオウチュウ(英名;Ashy Drongo、体長 29p)は森林の周縁部の高い木の上や電線に止まって、蛾やセミなどの昆虫をフライングキャッチしています。尾羽の先が二つに割れて外側に反り返っているのが特徴です。
中国からマレー半島、スマトラ島、ボルネオ島、ジャワ島に広く分布しています。
ハジロマユヒタキ
ハジロマユヒタキ(英名;Little Pied Flycatcher、体長 11p) あまり人を怖がらず近寄って撮影することができました。木の枝に止まっていて飛んでくる昆虫をフライングキャッチして食べます。
この日はお腹いっぱい食べた後だったのでしょうか、忙しく羽繕いしているところでした。
コサメビタキ
コサメビタキ(英名;Asian Brown Flycatcher)は一般に夏には日本など北の地域にわたってきて子育てをします。ところが一部の亜種のコサメビタキは留鳥となってボルネオにとどまっているようです。体長も11pと日本にやって来るものよりも幾分小さ目です。
道端に咲いている紫の花
ポーリン温泉地区の野鳥たち
キナバル国立公園本部管理事務所のある山の中腹から東側に下り、野鳥観察ポイントのポーリン温泉地区を早朝に訪ねました。標高500mと約1000m下がるとさすがに熱帯の森林地帯らしくとても蒸し暑くなります。
シキチョウ
上の写真はシキチョウ(英名;Oriental Magpie Robin、体長20p) 「ボルネオの10 鳴鳥」に数えられている鳴き声の美しい鳥です。ランキングは@ツグミの仲間 Aモズの仲間 Bオジロアカハラシキチョウ Cシキチョウの第4位となっています。
この個体は胸のあたりに白い羽が交じっておりオスの若鳥と思われます。
イエツバメ
イエツバメ(英名;House Swallow、体長 14p)東南アジアに広く分布している小型のツバメで留鳥です。日本で子育てするツバメはもっと尾が長くスマートです。
オレンジハナドリ
オレンジハナドリ(英名;Orange-bellied Flowerpecker、体長 8p) 花の蜜を食べるお腹がオレンジ色をした小さな野鳥です。ボルネオの山林から低地に住んでいます。
ヒメオナガバト
小鳥たちの群れが通り過ぎた後やってきたヒメオナガバト(英名;Little Cuckoo-Dove、体長 28p)のツガイが木の実を食べにやってきました。こちらはヒメオナガバトのメスです。
オスのヒメオナガバトは羽の色が全体的に濃い目となっています。
コノハドリ
コノハドリ(英名;Lesser Green Leafbird、体長 17p)名前の通り緑の葉っぱそっくりの鳥です。小さな木の実を丸呑みして食べますが、大きな実は嘴でつついて皮をはがして飲みこみやすくしてから食べます。
コアカメチャイロヒヨ
コアカメチャイロヒヨ(英名;Spectacled Bulbul、体長 17p) 黄橙色のアイリングが特徴のコアカメチャイロヒヨは熱帯雨林や山地林下部の森の境界部を好んで住んでいます。
コグシカロテス
コグシカロテス(英名;Green Tree Lizard、頭胴長 13p、全長 58p)とても尾の長いキノボリトカゲの仲間です。ポーリン温泉内の歩道横の地面にいるのを見つけて撮影しました。普段は木の上で緑の葉の間に隠れていてなかなか見つけにくいようです。
真っ赤な実をつけた植物
タンジュン・アル海浜公園の野鳥たち
コタキナバル郊外のタンジュン・アル公園やリスカ・ラグーンなどを訪れ、低地に住む野鳥たちを観察しました。ここでは山地とは全く異なる多くの鳥たちと出会うことができました。
キタカササギサイチョウ
上の写真はキタカササギサイチョウ(英名;Oriental Pied Hornbill、体長 75p)ボルネオ島の周りの島、沿岸地帯や川沿いの内陸部など各地で見られれる大型の野鳥です。サイチョウの仲間はいかにも熱帯の鳥らしい鳥で、遠くのシュロの木にツガイが止まっているのを見つけてカメラに収めた時はとても感激しました。
キタカササギサイチョウのメスです。オスと比べると頭の上の角がほとんどありません。
モリツバメ
モリツバメ(英名;White-Breasted Woodswallow、体長 18p) ボルネオ島の低地帯や丘陵地帯の開けた場所でよく見かけます。スマトラ島、ジャワ島、フィリピンやオーストラリアにも分布しています。
ムラサキサギ
ムラサキサギ(英名;Purple Heron、体長 85p)はボルネオ島を含むアジア各地やヨーロッパで見られます。夏になると北の国々に渡り子育てをします。日本では沖縄県南部の島で営巣しますが、その他の地域ではほとんど見かけない鳥です。
稲刈りの終わった田んぼはムラサキサギやシラサギたちの格好の餌場となります。
アジアヘビウ
アジアヘビウ(英名;Oriental Darter、体長 85p) ボルネオ島内の熱帯雨林を流れる大きな川沿いで見られます。首が長いこと頭が小さいことが特徴です。生態はカワウとよく似ているようです。
ミドリカラスモドキ
ミドリカラスモドキ(英名;Asian Glossy Starling、体長 20p)はボルネオ島の沿岸部の森や市街地でよくみられるムクドリの仲間です。特にオスは真っ赤な目と青緑色の光沢のある黒い羽に包まれています。
ミャンマー、タイ、マレー半島、スマトラ島などに広く分布しています。メスは薄い焦げ茶色の羽をしています。
ナンヨウショウビン
ナンヨウショウビン(英名;Collared Kingfisher、体長 24p)は青色の頭と背中、白色のお腹と首回りのなかなかダンディな羽を持っています。ボルネオ島沿岸部の森や公園などに住んでいます。
大型昆虫やヤモリ、カニなどを食べます。日本のカワセミとは違って魚は食べません。
ブッポウソウ
ブッポウソウ(英名;Oriental Dollarbird、体長 30p)インドや日本などで子育てして冬にはボルネオなど東南アジアで過ごしている渡り鳥です。
ハッカチョウ
ハッカチョウ(英名;Crested Myna、体長 25p)中国産の鳥、声の美しからペットとして輸入されてきたものが野生化した、いわゆる篭脱け鳥です。
海岸近くのモクマオウの木の樹洞で営巣しますが、巣穴にする樹洞はしばしばナンヨウショウビンやコオオハナインコモドキとの争奪戦になるそうです。
コオオハナインコモドキ
コオオハナインコモドキ(英名;Blue-naped Parrot、体長 30p) この鳥はもともとフィリピンに生息していたものが1996年12月の台風の風に流されてボルネオ島のいくつかの港湾部に運ばれてきて定住してしまったといわれています。
台風が運んできた外来種ですね。
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チョウショウバト
チョウショウバト(英名;Zebra Dove、体長 21p)はコタキナバルなどで篭脱けしたものが野生化したと考えられていて、今ではボルネオ島各地の市街化地域に分布しています。
カノコバト
カノコバト(英名;Spotted Dove、体長 30p)はボルネオ島各地の開発が進んだ山地や草原に住んでいます。チョウショウバトよりも臆病で市街地よりも離れた場所を好んで暮らしています。
チビアオバト
チビアオバト(英名;Little Green Pigeon、体長 22p) ボルネオ島各地の森にふつうに見られる鳥です。マレー半島やスマトラ島、ジャワ島などにも分布しています。
ミカドバト
ミカドバト(英名;Green Imperial Pigeon、体長 45p)はボルネオ島の低地や丘陵部の森に見られる鳥です。ミカドバトという名前の通り大きくて気品のある姿をしています。
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