今年の夏就航した新小笠原丸に乗って
8月下旬、今年の6月から就航した新小笠原丸に乗って、父島までの約1000㎞を船中二泊で往復しながら、船から見ることのできる海鳥を探す旅に出ました。父島では小舟に乗り換えてカツオドリの営巣する小島を船上から観察することができました。今回の旅のハイライトは二日目の早朝6時ごろから現れたアオツラカツオドリが一時間ほど船と並走して飛んでくれました。さらにあとからやってきたカツオドリの群れが船に附いて飛びながら魚を捕食する場面を見ることができたことでした。
台風の影響で東京湾を出ると間もなく海はかなりのうねりが出てきました。約10,600トンの新小笠原丸は多少のうねりはものともせずに波を切って進みます。
ほどなく現れたのは日本の沿岸を含む西太平洋に生息するオオミズナギドリ（英名；Streaked Shearwater、体長 49㎝）です。
船から相当離れたところを飛ぶオオミズナギドリの群れ。航海初日に撮影できたのはオオミズナギドリだけでした。
今回の旅では、船のはるか遠くをかなりのスピードで飛び回る海鳥をはっきりと写しとることの難しさを痛感しました。写真はうねる海面を滑るように飛ぶオオミズナギドリです。
航海の間、時折姿を見せてくれたのがこのアナドリ（英名；,Bulwer's Petrel、体長 27㎝）です。
アナドリの出現頻度はかなり高かったのですが、遠くを飛ぶ小さな黒いアナドリはなかなかカメラの枠に入ってくれません。
小笠原近海などで繁殖するセグロミズナギドリ（英名；,Audubon's Shearwater、体長31㎝）。
太平洋一帯に広く生息するハシボソミズナギドリ（英名；Short-tailed Shearwater、体長 42㎝）。
珍鳥、アオツラカツオドリの出現
航海二日目の早朝、どこからともなく現れたアオツラカツオドリ（英名；Masked Booby、体長 81-92㎝）が一羽、小一時間も船についてきてくれました。昨年まで大噴火が続いていた小笠原諸島の西方にある西ノ島にも、アオツラカツオドリが火山活動をかいくぐって繁殖しているということが、最近新聞報道されました。
大海原の彼方からやってきたアオツラカツオドリ。
次第に小笠原丸に接近してきます。
船に大接近したアオツラカツオドリ。初めて目の当たりにする見たこともない大型海鳥の姿に大感激しました。
船の横について飛ぶアオツラカツオドリは盛んに下を見ながら波を切ってすすむ船に驚いて逃げ出す魚を探しています。
魚を見つけると急降下して海に飛び込み魚を捕らえて水面に戻り、一気に飲みこみます。
しばらくするとカツオドリが現れてアオツラカツオドリと並んで飛び始めました。
二羽は並走しながらも海面を見ながら魚を探しています。
お互いに顔を見合って牽制しているみたいですね。
ここからはアオツラカツオドリの力強く飛翔する姿を写真を拡大してお楽しみください。
カツオドリの住む島を訪れました
アオツラカツオドリに続いてカツオドリ（英名；Brown Booby、体長 64-74㎝）の群れが現れ、小笠原丸に並走しながらエサ取りをはじめました。日本で見られるカツオドリは伊豆諸島や小笠原諸島などで繁殖しその周辺の海域で暮らしています。
カツオドリのメスは嘴が薄い黄色でどことなく優しい感じがします。
カツオドリのオスは顔の周りが青色でちょっといかめしく見えます。
海面近くを飛びながら魚を探しています。
船についてくるカツオドリの群れは次第に数が増えて10羽を超えるほどになり船の周りはとてもにぎやかになりました。二羽並んで仲良く獲物探ししているところです。
魚を見つけると水中にもぐって捕らえます。こちらは二羽とも魚に逃げられてしまったようです。
こちらは狩りに成功しました。拡大してみるとトビウオでしょうか？、青色の大きな目をした魚をくわえています。
魚を食べ終わると空中に飛びあがりますが、体重およそ1㎏が飛び立つのは羽がスマートなためちょっと難儀なようです。
水面を足でけりながら助走して飛びあがります。結構体力を使うようです。
小笠原丸が父島の二見港に到着しました。画面中ほどの赤色の船に乗り換えてカツオドリの繁殖している島へ向かいます。
港の外は風が強くちょっと不安な雲行きです。
営巣地が近い岩礁にはカツオドリの親が止まっていました。薄いブルーの足がきれいですね。
営巣地の小島に近づくと数えきれないほどのカツオドリの白いヒナが見えてきました。
産毛に覆われたヒナはとてもかわいらしいですね。
こちらはお父さんと一緒のヒナ鳥です。カツオドリのお父さんはなかなかのイクメンパパのようです。
名残は尽きなかったのですがカツオドリの営巣している小島を後にして帰路につきました。